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ガチ!フィンジアのおかげで髪と○○ゲット?俺の体験口コミ

この話は、若くして薄毛で悩む俺がフィンジアによって髪の毛と彼女を手に入れた、奇跡の物語である。
 

 

「こんなのただの作り話じゃん」
しょーもな」
ありえねーわ」

 

おそらくこれを読んだ人の中にはそう思う人もいるかもしれない。いや、むしろほんどの人が信じないだろう。俺だって、これが他人の話だったらそんな風に感じると思うんだ。

 

もちろん信じてくれとは言わないし、俺は育毛に関して小難しい専門的なアドバイスは出来ないかもしれない。

 

ただ、あわよくば、「こんな奴もいるんだな」くらいの気持ちで見てもらって、フィンジアを使って薄毛克服に成功した一人として、あなたの参考に少しでもなればと思う。
 

 

  • 現在薄毛に悩む人
  • 育毛剤選びで迷っている人
  • フィンジアの効果が気になる人
  • 自分の運命を変えたい人

 
こんな方にぜひ読んで欲しい。

 

信じるか信じないかは、あなた次第。
 

 

プロローグ

笛吹圭一、28歳。男。
仕事は営業のサラリーマン。

 

ごくごく平々凡々の俺だが、最近ある悩みを抱えている。

 

部屋の掃除をしている今のようなとき、その悩みは大きな牙を剥いて俺に襲いかかってくるのだ。武器よろしく右手に握りしめたコロコロを見れば、激戦による残酷な爪痕を確認できる。

 

 

「ハァ……」大きくため息をついた。

 

コロコロには、おびただしい毛髪が絡みついていた。
そう、俺の悩みは『薄毛』である。

 

 

元々、覚悟してはいたのだ。小学生の頃、「母方のじいちゃんがハゲてる奴は、将来ハゲるんだぜ~!」と得意げに吹聴するクラスメイトがいた。同じ教室にいた俺は、苦々しい気分でその話題をやり過ごした。

 

なんせうちの家系はハゲが多い。母方どころじゃない、父方の祖父や伯父、なんなら祖母もハゲている。もちろん父もそうだ。役満だ。ハゲのサラブレッドなのだ。

 

 

いっとき、希望を抱いたこともあった。遺伝とはいえ個人差はあるのだ。こんなにフサフサな俺がハゲるわけがない、と。しかし、十歳上のイトコが社会人になった途端抜けまくり、次の年の正月には見事なM字ハゲを披露してくれた段階で諦めた。

 

イトコも諦めきったような顔をしていた。学生時代、身内から見てもなかなかのイケメンだった彼の眼は、「お前もいつかこうなるんだよ」と優しく告げていた……。

 

 

幸い、なんとか二十代半ばまでは持ちこたえた。細心の注意を払ったからだ。規則正しい生活を心がけ、野菜を多く摂る、タバコは吸わないし、飲酒もほどほどに。

 

 

とはいえ、やはりDNAは強い。

 

アラサーになり、みるみる抜け毛の量が増えた。頭頂部ではなく、デコから広がっていく我が笛吹家の血筋を脈々と感じさせる抜け方だ。

 

 

もはやこれまでか。

 

 

前髪を伸ばして誤魔化しているが、汗をかいたときなどデコというには広すぎる額に、ピッタリと海藻のような髪が貼りつく。我ながらひどく見栄えが悪い。元々たいしたことのなかった営業成績が、ここ最近さらに落ちている。

 

それもこの薄毛のせいではないのか?

 

 

営業マンは好感度が第一だ。初対面の挨拶で交換した名刺の裏に「特徴:ハゲ」とメモされていそうな俺には荷が重い。それとも、これはただの被害妄想か?

 

薄毛にはストレスも良くないのだ。が、どうしても他人の視線が気になる。そうするとストレスが溜まる。さらに抜け毛が増える。完全に悪循環に陥っていた。

 

 

マドンナ多香子とイケメン房野

 

 

お疲れさまです


 

取引先から戻ってくると、大居多香子が冷たい麦茶を出してくれた。氷がカラカラと涼しげな音を立てる。

 

「ありがとう」

 

グラスを受け取り、一気に飲みほした。美味い。

 

 

夏の営業は過酷だ。外回りで汗をかくのはもちろん、クーラーの効いた室内と温度差のある屋外を何度も出たり入ったりするのが地味にキツイ。同じ営業課の事務を担当する多香子は、そのあたりをよくわかってくれている。三十分もして汗が引き、肌寒くなってきたところへ今度は熱いお茶を出してくれるのだ。

 

もちろん、男性社員が彼女にお茶くみを命じたわけではない。男女平等が叫ばれる昨今、そんなことをしたらすぐにセクハラと糾弾を受ける。彼女はあくまで自発的にこういった気配りをしてくれるのだ。

 

残念ながら、俺だけではなく課員全員平等に。

 

 

家庭的で、分けへだてのない明るい性格。
おまけに長い黒髪が似合う25歳の美人だ。

 

大居多香子は営業課のマドンナであり、『蒲生商事お嫁さんにしたい女性社員ナンバーワン』を誇る。彼女の笑顔を見るだけで、外回りの疲れなんか吹っ飛んだ。

 

 

とはいえ、俺は己というものを知っている。多香子に釣り合うわけがない。職場のオアシスとして、他の課員同様にほんのひととき癒してもらえるだけで充分だ。はつらつとした後ろ姿を見送りつつ、自分にそう言い聞かせた。

 

それに彼女には――、

 

 

ただいま戻りました!


 

威勢よく入ってきたのは、ちょうど脳裏に思い浮かべた男だ。

 

房野輝。

 

俺の同期で、営業課のエースである。長身のイケメンだ。汗を浮かべた顔が、この男だとまったくむさくるしくない。むしろ爽やかだ。茶色がかった髪をかきあげる仕草まで爽やかだった。

 

 

お茶を出す多香子も、心なしか嬉しそうに見える。グラスを受け取る房野と並んだ姿は、まさしく美男美女。どこから見てもお似合いだ。

 

 

多香ちゃん、サンキュー


 

房野に空のグラスを手渡され、はにかんだように微笑む多香子。俺にはあんな表情しないよなぁ……と、ぼんやり考える。仕方ない、彼氏とその他大勢では扱いが違って当然だ。当人たちが明言したわけではないが、房野と多香子は付き合っているというのが課内全員の共通認識だった。

 

 

なあ、笛吹


 

ぼーっとしていると、房野に声をかけられた。
彼は声をひそめ、

 

 

あのさ、さっきA社の担当さんと会ったんだけど、お前、納品日間違えてない?


 

「えっ!?」

 

慌てて確認する。と同時にドッと血の気が引いた。

 

間違えている! 
ヤバイ。完全に入力ミスだ。
あたふたと焦る俺に、房野が笑いかけた。

 

 

大丈夫。たぶん違うよな、と思って訂正しといた。向こうもおかしいと思ってたみたいだから怒ってなかったぜ


 

「そ、そうか。悪いな、房野」

 

 

俺は全然。でも一応、A社さんには謝罪メールしといたほうがいいな


 

「ああ、そうする」

 

ありがとな、と言うと笑って肩を叩かれた。フワッと柔軟剤のようないい香りが漂う。

 

王子か、お前は。
学園のアイドルか。

 

俺までウッカリ惚れそうになるわ!

 

 

そう、イケメン房野輝は中身もすこぶるイケメンなのだった。同じ男としては許しがたいが、実際イイ奴なのだから仕方ない。多香子に岡惚れしている男どもも、房野が相手と聞けばすごすご身を引くしかないだろう。

 

 

おーい、房野。ちょっと来てくれ


 

室内に轟くような野太い声がする。内藤課長だ。今日も不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。それとも深く刻まれたあの皺は、長年の積み重ねによってもう取れないのかもしれない。そう思うくらい課長の標準装備となっている。

 

「はい」と明瞭な声で答えた房野が、すばやく課長席に向かう。エースを前に、内藤課長の表情がやや緩んだ。房野なら当然だが、叱られるような話ではないらしい。しばらくのやりとりののち、課長が立ち上がる。

 

 

みんな、聞いてほしい。房野と俺で進めてきたプロジェクトだが、本日正式に取引成立となった。今期一番の大口契約だ!


 

五十路を迎えるとは思えない、雄々しい声音だ。いつものしかめ面が、今はほころんでいる。傍らに立つ房野を示し、

 

 

我が営業課エースにふさわしい仕事をしてくれた。ついては、房野をはじめみんなの慰労を込めて祝賀パーティーをしようと思う。今週の土曜、空けておくように


 

以上っ! と締めくくり、席に腰を下ろす。それからまた何事もなかったように仕事を再開した。営業課の鬼課長と言われるだけはある、すばやい切り替えだった。

 

課内の全員が、慌ててスケジュールを確認し始めた。平日ならともかく、せっかくの休日だ。予定を入れている者も多いだろう。

 

 

内藤課長は仕事ができるが、やや古い体質というか体育会系なところがあり、部下を振り回すのが玉にキズだった。バツイチなのも、課長のワーカホリックぶりに呆れた奥さんが子供を連れて出ていったせいだと、もっぱらの噂だ。

 

 

房野がきまり悪そうに首をすくめていたが、彼に責任がないのはみんなわかっている。予定をキャンセルせざるをえないらしい女子社員が、不満そうに唇を尖らせた。

 

「まーったく、急に言うんだから困っちゃう。課長のああいう無神経なとこ嫌いだなー。だから平気であんなの載せてられるんですよっ」

 

 

周囲から小さく失笑が洩れた。ワンマンなところがある内藤課長に、反感を持つ者は少なくない。が、俺はどちらかといえば好意的な方だ。いや、好意というよりは同病相哀れむ者の親近感といった方が正しいだろうか。

 

パソコンに視線を戻すと、キーボードにハラリと毛が落ちた。しかも二本。頭に触れてもいないのに、と悲しくなる。今日帰ったら、本格的に薄毛治療について調べようと心に決めた。

 

 

触れてはいけない内藤課長の秘密

土曜の夜。

 

『蒲生商事営業課慰労会』という名の飲み会は、つつがなく執り行われた。普段の安居酒屋ではなく少しグレードの高い店で、飲食代は内藤課長持ちである。

 

 

てか、そんくらい出してもらわないと割に合わないですよね


 

休日の予定を潰された恨み節は、まだ続いているようだ。元々口数の多い新入社員の倉崎奈々美は「今夜デートだったのにぃ!」とグチグチこぼしている。

 

こっちは下座とはいえ、上座には内藤課長と本日の主役である房野が陣取っている。同じ室内でよく堂々と愚痴をこぼせるものだ。若いってすごい。

 

 

年齢はさほど変わらないはずだが、ジェネレーションギャップを感じた。それとも、「社会人なら休日の飲みも仕事のうち」と自然に思える自分が、すでに社畜根性に染まっているのだろうか?

 

奈々美がしつこいせいか、愚痴は愚痴を呼ぶ。結果、このテーブルでは内藤課長の悪口に華が咲いた。上役の噂や陰口は誰しも嫌いではない。それによって部下一同の結束が固まったりもする。

 

 

が、俺は早くも逃げ出したくなっていた。本人に聞こえないかとヒヤヒヤしたが、課長は隣の房野を相手に楽しそうに飲んでいる。その何も知らない様子が、また胸にチクリときた。

 

 

「めっちゃ仕事できる人なのは確かですけどぉ。アレはないでしょ。いや、マジないっすわ。最初見たときネタかと思いましたもん」

 

「まあなぁ。でもさ、アレって高いんだろ? モノによっては新車買えるくらいの値段するってよ」

 

「マジで!? その値段であのクオリティってヤバくないすか」

 

「わかる。俺なら絶対他のことに使うわ。アレに金遣うのもったいねえもん」

 

 

ニヤニヤと、全員が意地の悪い表情を浮かべている。先ほどから繰り返される「アレ」という隠語。それは内藤課長の頭にドーンと鎮座ましましている。

 

そう、カツラだ。

 

 

内藤課長のカツラに決して触れてはならない―――。

 

それは営業課においての不文律だった。俺が入社した時点で、内藤課長はあの不自然すぎるカツラを被っていた。
昔から薄毛に悩んでいたらしい。そして十数年前のある日、突然カツラを被って出社したという。

 

そのカツラがあまりにもお粗末な代物で、その日一日中まともに仕事をするのが困難だったと先輩は語る。もちろん、誰もツッコむことはできなかった。以来、課長の毛髪事情に触れるのはタブーなのだ。

 

 

新入社員歓迎会でその掟を教わったとき、俺は課長への同情を禁じ得なかった。未来の自分の姿を見たような気がしたからかもしれない。

 

しかし、今はむしろ腹立たしい気持ちでいっぱいだった。課長にではなく、同じテーブルを囲むこいつらに対してだ。

 

内藤課長の統率力、営業力は確かなものだし、顔立ちも悪くない。背は平均以上で、年齢にしては体格にも優れている。つまり、悪口のネタになるものがカツラくらいしかないのだ。それはわかるが、たった一つの欠点を鬼の首をとったように酒の肴にするのはどうかと思う。

 

 

たしかに素人目に見ても出来の悪いカツラだ。
だが、これが義手や義足だったら?または乳がん患者の乳房再建だったらどうだろう?

 

多少出来が悪いからといってけなしたりしないはずだ。口にすれば「不謹慎」のそしりを免れないだろうから。

 

 

人体の一部が欠損しているのは同じなのに、なぜ薄毛であることやカツラを被ることは軽侮の対象になるのだろう。それが当たり前のように扱われるのだろう。当事者の気持ちはどこ行った?

 

生まれてこのかた共にあったものが失われる辛さが、お前らには理解できないのか?
お笑い番組でハゲをネタにする芸人を見たときも、俺は笑えない。苦い思いを噛みしめながら、チャンネルを回す。

 

 

課長のカツラを馬鹿にする奴らだ。俺の薄毛も陰でなんと言われていることか。話を聞けば聞くほど冷めた気分になった。薄い水割りをちびちび飲む。今夜は悪酔いしそうだ。

 

 

みんな楽しそうね


 

そこへ天使が現れた。大居多香子だ。さっきまでは上座で房野の隣にいたはずだが、いつの間にか大移動してきた。

 

 

「ここ、いいですか?」と俺の横に腰を落ち着けた。部署きっての美女のお出ましである。男どもは課長の悪口など興味をなくしたように、あれこれと多香子の喜びそうな話題を振った。

 

急に座が華やかになる。突然お株を奪われた奈奈美だけが、ふてくされたようにソッポを向いているのが面白い。

 

俺も話題に加わりながら、多香子に感謝した。ここいら一帯の沈んだ空気に気付き、雰囲気を良くしようとやってきたのだろう。

 

 

が、その努力は房野のためなのだということも理解している。彼氏がねぎらわれる飲み会をなごやかなものにしたいと思うのは自然なことだ。そう納得しつつ、胸にはまたチクリと違うトゲが刺さった。

 

二次会に繰り出す面々と別れ、俺は帰路に着いた。

 

 

何気なく引いたコンビニのくじ引きで

時刻はPM10:00過ぎ。

 

最寄駅を出て、自宅アパートの近くにあるコンビニに立ち寄った。ちょうど帰り道にあるので重宝している。毎日のように通っているせいで、店員のシフトも把握しているくらいだ。今日は照川さんが夜勤に入っていた。

 

 

栗色のショートカットが似合う可愛い子だ。接客態度も良く、俺みたいな奴にもとびっきりの笑顔で応対してくれる。少し気を良くしながら商品を選んだ。明日の朝食用にパンや牛乳、そしてウコンもカゴに入れる。レジに行くと、

 

 

こんばんは!


 

いつも通り、明るい笑顔で迎えてくれた。小動物系の大きな瞳が愛らしい。彼女目当てで店に通う男もいるのだろう。

 

 

お会計千二百円になります。あの、今キャンペーン中でして、千円以上お買い上げのお客様にはクジを引いて頂いてるんです


 

一回どうぞ、と丸い穴のついた箱を差し出された。特に期待はせず一枚引くと、アタリと書いてある。照川さんがはしゃいだ声を上げた。

 

 

あっ、アタリですね。開いてみてくださいっ


 

賞品お渡しします!という言葉が尻すぼみになった。俺が開いた紙にこう書かれていたからだ。

 

『五等:超強力メンズヘアワックス。どんな爆毛も思いのまま!』

 

…………

 

 

レジを挟んで、死ぬほど重苦しい沈黙が落ちた。
チラッと彼女の目が俺の頭に吸い寄せられた気がする。いたたまれない。爆毛どころか、乾燥地帯の稲のような毛量だ。デリケートな頭皮に整髪料など厳禁。渾身の気力をふりしぼり、俺は笑みを作った。

 

「あ、はは。俺、整髪料使わない主義なんだよね。もったいないから、商品は他のお客さんにとっといてください」

 

 

じゃあ、と肩を落として自動ドアに向かうと、「待ってください!」背後から声がかぶさってきた。振り返れば、やけに真剣な顔をした照川さんと目が合う。

 

 

私、もう上がりなんです。すぐ出ますから、ちょっとだけお話できませんか?


 

「え? あ、はあ。大丈夫だけど……」

 

断ってもよかったが、なんの話なのか興味が湧いた。店の駐車場で待っていると、ほどなくして彼女がやってきた。私服に着替えている。ノースリーブから覗く白い肩がまぶしい。

 

 

あそこのファミレスに入りませんか? ドリンクバーのクーポン持ってるんです


 

「うん、いいよ」

 

道路を挟んで向かいにあるファミレスに入る。唯々諾々と従っているが、可愛い女の子とお茶できるのだからラッキーだ。話というのが宗教やマルチ商法の勧誘ではないことを祈りつつ、ソファ席で向かい合った。

 

 

すいません、突然。ビックリされましたよね


 

お互いに簡単な自己紹介をした。彼女は照川真美と名のった。下の名前は知らなかったので、なんだか新鮮だ。この近くの名門女子大の四年生で、すでに内定をもらっているとのことだ。

 

「それで、話っていうのは?」

 

 

――あのぅ、こんなこと言ったら気を悪くされると思うんですが……


 

真美はかなり言いよどんだあと、意を決したように顔を上げた。

 

 

笛吹さん、薄毛に悩まれてますよね?


 

「ブホッ」

 

思わずコーヒーを吹きそうになった。
すごい直球だ。絶句する俺に、

 

 

ああああああ、す、すいませんっ。ほんといきなりこんなこと言って。でも、なんか私、少しでも力になれたらいいなって思って。それで……!


 

顔を真っ赤にして、しどろもどろになる彼女。決して馬鹿にしたりふざけたりする姿ではなかった。俺は両手を広げ、落ち着くように言う。

 

「いいよ、気にしないで。本当のことだし。で、力になるっていうのはどういうことかな?」

 

 

ええとですね、すごく良い育毛剤があるんです。それをぜひお勧めしたくて


 

「ふうん、なんて名前?」

 

 

たぶん『フィンジア』っていうんですけど


 

その名前には聞き覚えがあった。薄毛治療について情報を集めたとき、目にしたものだ。しかし、情報は膨大すぎるとかえって取捨選択に迷う。結果、未だにどの製品を使うかは決めかねていた。ちょっと興味が湧き、テーブルに身を乗り出す。

 

「その名前は知ってるよ。ネットでも好評価が多くて気になってたんだ。良いっていうのは、誰か知り合いが使ってみた感想なのかい」

 

 

ええ、うちの兄が使ってたんです!


 

照川さんの兄は、薄毛に悩んでいたらしい。彼の場合も遺伝によるもので、しかも大学時代にはハゲの兆候が出始めたという。多感な時期だ。ひどく悩んだであろうことは想像に難くない。

 

 

妹の私が言うのもなんですけど、明るくて頭が良くて自慢の兄だったんです。でも、髪が抜け始めてからはふさぎ込むことが多くなって……。さっき、笛吹さんがクジを引いたときの顔が兄そっくりで、なんかほっとけないって思ったんです


 

そんなに情けない顔をしていただろうか。
俺は頭をかく。

 

「ありがとう。気遣ってくれて。で、お兄さんは効果があったんだよね?」

 

「そうなんです!」大きな目を輝かせた。

 

 

色んな育毛剤を試したけど、『フィンジア』が一番よく効いたそうです。実際、久しぶりに会ったら髪の毛が増えてて驚きました。なにより、昔の兄と同じように明るい笑顔を見せてくれたことが嬉しくて


 

兄想いの良い子だな、と思った。ただ、育毛剤が効くか効かないかは個人差がある。彼女は本当のことを語っているのだろう。しかし、大きな期待はかけないでおこうと思った。

 

「参考になったよ。また機会があれば使ってみる」

 

そう言うと、相手は「はい、ぜひ」とうなずく。今すぐ買えとは強制してこなかった。それぞれドリンクを飲み干し、店を出た。

 

 

「遅くなっちゃったね。良ければ送っていこうか」

 

迷惑がられるかもしれないが、若い女性なので心配だった。すると、真美は目を丸くしたのち、おかしげに微笑む。

 

 

送るっていうか、同じ方角じゃないですか。私、笛吹さんのアパートの隣に住んでるんですから


 

「え、そうなの?」

 

なんで彼女が俺の自宅を知っているんだろう、と疑問に思いつつ、並んで歩き始める。真美は首をかしげて言った。

 

 

もしかして、覚えてないんですか?


 

「ん、何を?」

 

 

私、大学入学の直前に越してきたんですけど、引っ越し当日に迷子になっちゃったんです。で、通りがかった人に声をかけたら『うちの隣だよ』って案内してくれて、とても助かりました。引っ越し屋さんが到着する前に着いてないといけないから、焦ってたんですよね


 

……本当に覚えてません?と聞く目が、やや拗ねている気がして焦る。そんなことがあったような気もするが、俺は道を尋ねられやすいので、あまり意識していなかった。真美が小さくため息をつく。

 

 

ま、仕方ないですね。もう四年も前だし、私も髪型とか化粧を変えたんでわからなかったかも。でも、私は覚えてました。だからコンビニでバイト始めたときも、笛吹さんには特別丁寧に接客したんですよ?


 

いたずらっぽく笑う顔に、なんだかどぎまぎした。

 

「ご、ごめん。声かけてくれればよかったのに」

 

 

いえ、だって仕事中ですから。――でも、今日は我慢できなかった


 

つぶやくような声音に、もしかしたら彼女はずっと俺の様子を気にしていてくれたのかもしれない、と思い当たった。なぜならこの四年間、リアルタイムで薄毛の進行を目にしていたはずなのだから。きっと、自分の兄と重ね合わせて心配してくれたのだろう。胸にじんわりと、温かいものが広がる。

 

 

「ありがとう、照川さん。勧めてくれた育毛剤、試してみるよ」

 

良い経過が出たら報告する、と言うと彼女はとても嬉しそうな顔をした。

 

 

はい、楽しみにしてます!


 

アパート前で真美と別れたあと、自宅に帰る。さっそくパソコンを開いた。『フィンジア』のページはブックマークしていたので、すぐに注文手続きをとる。ちょっと迷ったが、定期購入にすると一本一万円以内で収まるのでそうした。

 

安くはないが、効かなければ一カ月で打ち切ることも可能だというし、試してみる価値はあるだろう。

 

期待に胸躍らせながら、俺は注文ボタンをクリックした。

 

 

自宅に届いたフィンジアを使ってみた

商品は間もなく届いた。

 

黒いボトルに、ゴールドのポイントマーク。なかなかシックなデザインだ。いかにも「養毛剤です!」と言わんばかりのオヤジ臭いパッケージだと、使う前から萎え度がハンパないので、このさりげないオシャレ感は気に入った。

 

洗面所の棚に置いても、これが育毛剤とは誰も思うまい。

 

 

風呂に入って念入りに洗髪し、ドライヤーでよく乾かしたあと、いよいよボトルを手に取った。新しいオモチャを手に入れた子供のような、ワクワクした気分で3プッシュほど頭皮に噴射する。

 

両手の指でマッサージするようにすり込む。サラッとしてべたつかないため、使用感も悪くない。トニック独特の強い匂いもなく、化粧品でケアしているみたいだ。

 

 

なにか変化があるか?と思っていると、数分後なんだか頭皮が熱っぽくなるというか血流が良くなっている気がした。

 

これ、効いてるんじゃないか、もしかして。

 

ますます気持ちが高揚してくる。すぐに効果が出るはずもないのに、その日は何度も鏡を見てはにんまりした。

 

 

 

翌日、コンビニで真美に会った。会計をしてもらっている間、『フィンジア』を使い始めたことを話す。「いい結果が出るといいですね!」とガッツポーズで激励してくれた。

 

その後一か月ほどの間、俺はこまめに育毛に取り組んだ。まだ見た目の変化はないが、毛髪の感触にコシが出てきたと思う。何より、明らかに以前より抜け毛の量が減った。現状維持でもいい、マイナスが続いていた状況にストップをかけられたのが心底うれしかった。

 

 

真美に報告すると、彼女は自分のことのように喜んでくれた。そして、LINEのIDを教えてくれた。「後期に入って卒論の準備があるから、これからあんまりバイトに出れないんです」と言った。

 

 

 

うだるような暑さはすっかりなりを潜め、季節は秋を迎えている。

 

コンビニで会う機会が減るのは悲しいが、個人的に連絡をとる手段を持てたのがうれしい。女性とLINEのやりとりをするなど、ほとんどなかったことだ。単純にテンションが上がった。

 

 

マドンナ多香子の憂鬱

そんなわけで、ここのところの俺はゴキゲンだ。仕事は忙しいが、それなりに問題なく過ごしている。

 

しかも、今夜は特別。

 

たまたまマドンナと二人きりだった残業を終えると、多香子の方から「ちょっと飲んで帰りませんか」と誘ってきたのだ!もちろん、二つ返事で了承した。

 

 

 

案内されたのは、落ち着いた雰囲気のピアノバーだった。カウンターの止まり木に並んで腰かけ、ドライマティーニとカシスオレンジで乾杯する。

 

ちなみに俺がカシスオレンジだ。大の男があまりみっともよくはないが、アルコールに弱い体質なのだから仕方ない。

 

それに、育毛のためにも酒を控えるくせがついている。

 

 

多香子は見かけによらずイケる口らしい。マティーニを始め、強い酒をどんどん干していった。えらくピッチが速い。

 

「大丈夫か、そんなに飲んで」

 

こちらの心配をよそに、フフッと軽く微笑んだ。

 

 

今日はね、飲みたい気分なの


 

自然とタメ口になる程度には酔っている。でも、気分は良さそうだ。カクテルピックに刺さったオリーブをくわえる唇が、真っ赤に色づいている。見ているだけでこっちまで酔いそうな妖艶さだった。

 

 

ねえ。笛吹さん、最近雰囲気変わったよねぇ


 

「そうかな。どんなふうに?」

 

 

なんていうか、イキイキしてる感じ。うらやましいわ


 

「うらやましいって……、大居さんは俺なんかよりよっぽどイキイキしてるよ」

 

苦笑して返すと、彼女は無邪気に笑った。

 

 

やあだ、そう見えるの?


 

「見えるな。自信があって、落ち着いてて、世間のすべてに受け入れられる人だ。俺の方こそうらやましいよ」

 

「…………」

 

多香子が黙って俺を見た。おもむろに口を開き、

 

 

世間ってそんなに大事? 世間がどう言おうが関係ないじゃない?


 

「いや、でも、なかなかそうは割り切れないよ。大人だし、やっぱり世間体は気になる」

 

 

やけに強い視線を向けられ、しどろもどろになった。
彼女は新しいグラスを飲み干し、

 

 

そう。私なら、大事な人がそんな風に悩んでたらこう言うわ。世間体のヤツなら私がシメておくから、貴方は好きなように生きればいいのよって!


 

しとやかな美女には似合わぬ過激な発言だ。多香子は酔っ払い、へらへら笑っていたけれど、なんだか疲れて見えた。BGMに流れていたピアノが、物哀しげなアリアを奏でる。

 

「もしかして、房野と何かあった?」

 

 

房野さん?なんで房野さんが出てくるの


 

きょとんと不思議そうに見返され、ちょっと焦った。

 

「だって、二人は付き合ってるんじゃないのか」

 

 

ええー、どこからそんな話になったのよ!


 

言うなり、彼女は爆笑した。この様子だと、本当に付き合ってはいないらしい。房野さんは素敵な人だけど、と前置きした上で、

 

 

私が望む人は彼じゃないし、彼も私に恋愛的な興味はないと思うわ


 

長い髪をかきあげ、こちらに流し目を向けた。蠱惑的なしぐさに鼓動が早まる。なにか気の利いたセリフを口にしたいと思うのに、ただ彼女に見とれるしかなかった。長いまつげを伏せた多香子が、

 

「出ましょうか」

 

立ち上がるのにならった。店を出て、

 

 

今日は、話聞いてくれてありがとうございます


 

頭を下げた彼女が、タクシーに乗り込むのを見送った。甘い残り香が、むずがゆく鼻をくすぐる。もっと自信にあふれた男になりたい。心からそう願った。

 

 

課長からの「ちょっと来い」

二人で飲んだ夜は、確実に多香子との距離が縮まった気がした。

 

が、翌日からの彼女の態度は思いっきり普段通りである。たまたまあの夜は酔いたい甘えたい気分で、たまたま近くに俺がいたというだけなのだろう。しかし、房野と恋人関係でないと知れたのは収穫だった。

 

 

育毛が上手くいって自信が持てたら、彼女の隣に立つのにふさわしい男になれるかもしれない。多香子の彼氏が俺だと聞いたら、同僚たちは一体どんな顔をするだろう。

 

パソコンに向かいながら愉快な想像が広がり、ついニヤついてしまう。

 

 

笛吹!


 

そんな妄想を引き裂くような怒声が轟いた。慌ててディスプレイから顔を上げる。声の主である内藤課長が、俺を睨み据えていた。

 

 

ちょっと来い


 

声のトーンだけでわかる。課長の怒りゲージが最高潮に達している。

 

「……はい」

 

怖気づきそうになる足を、引きずるようにして課長席に向かった。同僚たちの好奇の視線が突き刺さる。

 

「なんでしょうか」

 

 

なんでしょうかじゃないんだよ。これを見ろっ!


 

課長がデスクに叩きつけたのは、契約書だ。俺が担当しているA社との最新の取引について書かれている。とっさにはわからなかったが、よくよく見直して血の気が引いた。――見積工数の桁が間違っている! 課長の地を這うような声が響いた。

 

 

俺が確認した報告書とは数が違うんだが、どういうことだ?


 

「すいません! つい先日A社の担当さんとお会いしたとき相談を受けまして……、あくまで見込みの可能性として、仮に書いた数字だったんですが――」

 

うっかり本契約時に修正するのを忘れていた。
内藤課長の額にクッキリと青筋が浮かぶ。

 

 

向こうさんはもうこの数字で納得しちまってるんだろう。どうすんだよ、間に合わねえぞ。開発チームの部長から苦情が来てんだよ。うちの部員を殺す気かってなぁ!


 

「申し訳ありませんっ」九十度に腰を折り叫んだ。

 

「A社に行って、謝罪してきます!」

 

 

馬鹿野郎。お前だけの問題じゃねえんだ。蒲生商事全体の信用に関わる。――菓子折り用意して、今から一緒に行くぞ


 

内藤課長が立ち上がる。課内は一気に騒がしくなった。

 

みんな事の重大さに青ざめているのだ。方々から電話をかける声がする。申し訳なさに押しつぶされそうになりながら、俺は課長の後に続いた。

 

 

 

その後は濁流に飲み込まれるような日々だった。

 

A社に赴き土下座する勢いで謝り倒し、なんとか納期を少しだけ伸ばしてもらった。厳しいスケジュールに違いはないので、開発チームにも謝罪に行った。目にひどいクマを浮かべる部員たちを前に土下座したが、彼らは黙ってプログラムを組み続けた。

 

 

いかつい顔をした部長だけが唯一手を止め、「営業でよかったなぁ、笛吹。できるならデスマの特攻隊長に任命したいよ。うちの部員が過労死したらそのときは本気で頼むぜ」と冷ややかな声をかけてくれた。

 

客先と開発チームとの板挟みで、もっとも苦労したのは内藤課長だろう。営業課の同僚たちにも迷惑をかけた。失敗を少しでも埋め合わせようと、俺は連日泊まり込みで開発チームのフォローに回った。それくらいしか出来ないのが歯がゆかった。

 

 

仕事ミスで髪にも影響が

二週間後、ようやくすべての納品が完了した。

 

短期間でのコードの実装、結合試験と総合試験、納品後のバグの修正に仕様変更……死相が出そうなプロジェクトをやり遂げてくれた開発チームには、金輪際頭が上がらないだろう。

 

また改めて土下座すると、二週間で明らかにやつれた部長に肩を叩かれた。お役御免の合図だ。ちょっと泣きそうになりながら、俺は開発チームを後にした。

 

 

 

ほぼ丸二週間、まともに帰宅しなかった我が家に入る。

 

着替えとシャワーに戻るだけだったせいか、空気全体がよどんでホコリっぽい。窓を開けて換気した。砂袋のような身体を引きずり、風呂に入る。髪を洗うと、排水溝に黒々とした毛髪が渦を巻いた。『フィンジア』を使う前と同じ、いやそれ以上にまた抜け毛が増えている。

 

忙しさと責任に追い立てられ、育毛どころではない日々だったのだ。シャワーを浴びても『フィンジア』を適当につけるか、まったく忘れたまま飛び出していくのが常だった。加えて寝不足に疲労、食事は適当でストレスと副流煙にまみれた、育毛とは正反対の生活。毛が抜けて当然だ。

 

 

仕方ない、自分が悪いのだから。

 

髪を乾かしたあと、久しぶりに念入りに『フィンジア』でマッサージを施した。マイナスに後退した自分に、まだ望みがあるのかと疑問に思いながら。

 

 

 

ベッドに入ると、スマホを確認した。この二週間、真美とは一切顔を合わせず、連絡もとっていない。一度、LINEで「最近どうですか?」とメッセージが来たが、既読スルーしてしまった。

 

それどころではなかったし、報告できるような良い事もなかった。きっと彼女は気を悪くしたに違いない。

 

空っぽの胃の腑が痛んだ。それでも、今は眠気の方が勝つ。久々の自分の布団の心地よさに誘われ、すぐに泥のような眠りに落ちていった。

 

 

やっぱりハゲは恋愛対象にはならない

納品が済んだとはいえ、失敗のショックは長く尾を引いた。

 

自分のやることなすことに不安が残り、何度もしつこく確認するくせがついた。が、それが取引先の心証を余計に悪くするという負のループだ。内藤課長は相変わらずピリピリしているし、同僚たちの笑い声も減った気がする。

 

そのすべてが己の責任のようで、俺は身を縮こめるようにして、なんとか日々の仕事をこなしていった。

 

 

 

十月も終わりに近づき、ようやく以前と同じペースを取り戻しかけた頃だ。帰り際、休憩室の前を通ったら、女子社員の話し声が聞こえた。

 

「笛吹さん、最近やっと元気出てきましたね」

 

自分の名前が耳に飛び込んできて、思わず立ち止まる。気づかれないよう、足音を忍ばせドアに耳をつけた。数人の女性たちは、全員営業課の課員のようだ。

 

 

「でっかいミスしちゃいましたもんねぇ。普通の神経なら落ち込むって」

 

「たしかに。めっちゃ迷惑だったよねー。うちらまで何度電話で罵倒されたことか」

 

「ま、いつまでもどんより落ち込まれてても困るし。多香子さんも心配してたんじゃないですか?」

 

 

ビクンと肩がはねる。大居多香子もいるのか。

 

 

え、なんで私?


 

「またまたぁ。前に見ましたよぉ、二人っきりでバーに繰り出してたでしょう」

 

「マジで。多香子、そうなの!?」

 

女性たちが色めきだつ。

 

 

飲みに付き合ってもらっただけよ


 

困ったような多香子の声が聞こえた。

 

 

えー、結構いい雰囲気に見えたけどなぁ


 

しつこく食い下がっているのは倉崎奈奈美だ。後輩とは思えない不躾さで、

 

 

でもやっぱ笛吹さんはないか。だって、ねえ? 名は体を現すっていってもねえ


 

「ちょっとぉ、やだ。奈奈美ちゃん言い過ぎー!」

 

クスクス笑いさざめく声に、すぐさま消えたくなった。しかし、足の裏が床に貼りついたように動かない。

 

「多香子は無理めすぎでしょ。笛吹さんもちゃんとわかってるって。美女とハゲじゃん」

 

 

そんな言い方はないんじゃない?


 

嘲笑に割り込む声がした。多香子が語気強く、

 

 

私を持ち上げてくれてるつもりかもしれないけど、人の身体的特徴をあげつらうのってどうかと思うわ


 

寸の間、沈黙が落ちた。

 

 

えー、何すか何すか。マジにとっちゃう感じですか?


 

奈奈美が茶化すように、

 

 

多香子さん、ガチで笛吹さんと付き合ってたりします?


 

だから、付き合ってないって


 

苛立ったような多香子の声。

 

 

ほんとに? 気にしないで言ってくださいよぉ。大丈夫ですって。ハゲ専の人ってたまにいますから


 

――ッ、ハゲなんか好きじゃないわよっ!


 

語尾が反響するような大声だった。しん、と静まり返ったあと、とりなすようなささやきが聞こえてきたが、もう耳には入らなかった。一刻も早くここを離れたい。動かなかった足が嘘のようにすみやかに動き、会社を出るやいなや駆け出した。

 

 

畜生。畜生。クソッタレ!

 

誰に対する怒りかわからないまま、心の中で悪態をつく。汗とも涙ともしれない何かが、頬を滑り落ちていった。

 

 

もうどうにでもなれ

まっすぐ帰る気にはなれなくて、飲めない酒を飲んで回った。終電ギリギリで最寄駅を出ると、とぼとぼ帰路をたどる。コンビニを覗くが、真美はいなかった。あれから一度も連絡をとっていない。もう俺のことなんか忘れているだろう。

 

けれど、今夜はむしょうにあの明るい声が聞きたかった。スマホを取り出し、またポケットにしまう。家に帰ってから、落ち着いてLINEのメッセージを考えよう。幸い明日は土曜だ。時刻は遅いが、そこまで迷惑にはならないだろう。

 

 

 

自宅アパートの目と鼻の先まで差し掛かったとき、曲がり角でふと見覚えのある背中を見つけた。

 

あれは房野じゃないか?

 

少しふらついた足取りだが、長身の後ろ姿は間違えようがない。たしか今日は取引先との接待で課長と同行していたはずだ。そのまま直帰したとしても、彼の住まいは逆方向の駅なのだが。さては終電を逃したか?

 

 

近くにネカフェがあるわけでもない住宅街にいるのが不可解だが、泊まるところがないなら自宅を提供するのもやぶさかではない。彼にはミスの尻拭いで特に世話になった。まずは追いつこうと足を早めかけたとき、街灯の下に人影が見えた。

 

 

照川真美だ。

 

とっさに電柱の陰に隠れる。

 

 

もう、来るなら先に言っといてよね


 

悪りぃ。終電逃しちまってさ。わざわざ迎えに出てくれたのか?


 

聞こえてきたのは、やはり房野の声だった。

 

 

酔ってどっかで倒れてるんじゃないかって心配だったの


 

ほら、早く入ろ。そう言って、真美が房野の腕をとる。
遠慮のない、親密な仕草だった。

 

そのまま二人はアパートの二階の角部屋に入る。
真美の部屋だ。

 

ドアが完全に閉まったあと、俺はそうっと電柱の陰から抜け出し、そそくさと自分の部屋に飛び込む。寒々しいリビングの空気が、今夜はやけに身に染みた。

 

 

 

風呂に入り、髪を洗う。

 

洗面所で、鏡に向かい合った。
俺はハゲじゃない。

 

だって髪がある。薄毛とハゲじゃ全然違う。当たり前のようにそう思っていたが、自分の勝手な認識だったのかもしれない。だって、倉崎奈奈美や他の女子社員も言ってたじゃないか。「ハゲ」って。

 

薄毛のヤツに多少毛が生えたところで何も変わらない。磯野波平の一本毛が二本か三本になろうが、誰も気にしないように。洗面台に並んだ黒のボトルをつかむ。

 

 

どうせハゲはハゲなんだ。ちょっと手入れしたところで無駄な努力だ。誰も評価しない。自己満足でしかない。

 

「クソッ……!」

 

ボトルを振り上げ、ゴミ箱に叩き込む。これでもう甘い期待を抱いたりしない。ハゲの血には抗えない。

 

運命を受け入れ、ハゲとからかわれても笑って受け流す度量を身に着ければいい。それが妥当であり、当然の人生の流れなんだ。俺、笛吹圭一にとっての。

 

 

「そのためには、ハゲの一発芸くらい持ってないとな!」

 

わざと明るく独りごち、俺は持ちネタにできそうなハゲネタを検索し始める。せめて自分一人くらい、自分を茶化してやらなければ。あまりにも自分がみじめだと思った。

 

 

『フィンジア』はゴミ箱に捨てた。
が、翌朝には拾い上げていた。

 

期待しているからではない。単なるもったいない精神ゆえだ。安月給のサラリーマンには安くない金を払っている。まだ中身が残っているのに捨てるのは惜しい。

 

自分に言い訳するようにして、『フィンジア』を使い続けた。どうせ残りは少ないし、これが無くなったら本当におしまいにすればいい。

 

 

真美と房野の関係

真美のいるコンビニにはまったく足を向けなくなった。

 

わざわざ遠回りをするのも嫌なので、店の前を通るときは小走りで駆け抜ける。なぜこんなにコソコソする必要があるのかと、自分でも首をひねりながら。

 

その日も残業を終え、俺は会社を出た。買いたいものがあるときは、最寄駅近くのスーパーに寄って済ませるようになった。いつも通りコンビニを横目に通り過ぎると、背後から足音が近づいてくる。俺が振り返るのと、

 

 

笛吹さんっ!


 

真美が叫んだのは同時だった。私服姿の彼女は駆け寄ってきて、ぜいぜい息を切らしている。

 

 

どうしてたんですか、ずっと。全然お店にも来ないし。心配してたんですよ……?


 

「いやぁ、忙しくて」

 

 

いつも来てたのに全然来ないから…。なのに、スーパーには行くんですね


 

俺の手にあるレジ袋を見つめる目に、心なしか非難の色が浮かぶ。
う、ヤバイ。

 

へにゃりと眉尻を下げた彼女は、

 

 

私、なにか気に障ることしちゃいましたか?


 

泣きそうに瞳を潤ませる。

 

 

だったら言ってください。知らないうちに笛吹さんのこと、傷つけてたんなら


 

彼女は何も悪くない。
俺が勝手に期待して、勝手に玉砕しただけだ。

 

真美といい多香子といい、魅力的な女性と接近する機会が急に増えたものだから、一人で舞い上がっていただけなのだ。自分が元々、彼女らの眼中にもない人間だということを忘れて。

 

「何もないよ。ただ、照川さんの彼氏って、実は俺の同期なんだよね。すごい良い奴だしさ、俺なんかが恋人の周りウロチョロすんのはまずいんじゃないかなって」

 

あはは、と乾いた笑いを洩らす俺を、真美はなんともいえない表情で見つめた。

 

 

彼氏って誰のことですか?


 

「え?いるでしょ、ほら」

 

 

私、付き合ってる人いませんけど


 

「え、いやいや、だって。先週末、アパートに房野が来てるの見たんだけど……」

 

俺の言葉に、「ああ!」と彼女は破顔一笑した。

 

 

見てたんですか。あれ、兄です


 

「え?」

 

俺は本当に間抜けな顔をしていたと思う。

 

「兄って……、苗字違う、よね?」

 

 

うち、両親が離婚してるんです。兄は父に、私は母方に引き取られました


 

ふわふわとした髪をかきあげ、そっと目を伏せる真美。栗色の髪や小動物めいた大きな瞳は、たしかに房野によく似ているかもしれない。そこまで考えて、はっと気づいた。

 

「照川さん、何人兄弟?」

 

 

二人ですよ。兄と私


 

「じゃ、じゃあ――」

 

俺の言わんとすることがわかったみたいに、いたずらっぽく微笑む。

 

 

はい。薄毛で悩んでた兄っていうのが、房野輝です


 

――マジか。

 

再出発

その後、シフト上がりだという彼女と、前と同じファミレスに入った。お互いの行き違いが片付いたせいか、二人とも晴れ晴れした顔をしていた。連絡を取っていなかった間のことを話し合う。

 

 

いろいろ大変だったんですね


 

チョコパフェを食べる真美が、同情するようにうなずいてくれた。

 

 

でも、効果出てたんでしょう? 諦めるのもったいないですよ。自己満足でいいじゃないですか。自分が満足するのが、何より大事なことです


 

デザートスプーンを振り回すようにして、熱っぽく語る。

 

 

二週間まともにケアできなかったら、後退するのは仕方ないですよ。でも、それでゼロか百で考えるのっておかしいと思う。

 

三歩進んで二歩下がったら、またもっかい進み直したらいいんですよ。

 

ずっと頑張り続ける必要はないけど、適度な緊張と弛緩を繰り返すのが長く続けるコツです。私だってダイエット中だけど、今パフェ食べてます。でも、だからってダイエットは諦めてませんよ!


 

「照川さんはダイエットの必要なんかないでしょ」

 

充分可愛い、とは恥ずかしくて言えなかった。
スプーンをくわえた真美は、ぷうと頬を膨らませた。

 

 

ありますよう。もうすぐ冬だからコートで着ぶくれちゃうし、お肉落としとかないと。自信持って好きな洋服着たいですもん


 

自信か。俺が何より欲しいものだ。
髪さえ生えれば持てるものと思っていた。でも、やる前に諦めてしまうことが、一番自信を失わせる悪の根源なのかもしれない。

 

「わかった」一呼吸置いて、俺は言った。

 

「やるよ。せっかく背中押してくれたんだもんな。諦めない」

 

 

その調子。ダイエットと一緒で長期戦ですよ。お互いがんばりましょう


 

差し出された白い手を、おずおずと握る。やわらかく、熱い手だった。触れる先から元気が流れ込んでくるみたいに。

 

自宅に帰ると、宅配便の不在票が入っていた。『フィンジア』の新しい定期便が届いたのだ。なにか、またひとつ背中を押された気がした。

 

「よーっし! やるぞ!!」

 

気合一発、握り拳を空へ向けて突き出した。

 

真のイケメン房野

 

笛吹、真美から聞いたよ


 

翌日の昼休み、食堂で房野に声をかけられた。内容が内容だけに、ギクリと身をこわばらす俺に、相手は「いいから」と手を振った。

 

 

お前のことだから俺に遠慮してんだろうけど、そんな気遣いは無用だぜ。俺は過去を恥じてない。むしろ自分を成長させてくれるいい経験だったと思ってる。だから笛吹にも、同じ達成感を味わってほしいんだ。

 

参考になればと思って、俺が当時つけてたノート持ってきた。『フィンジア』の使い方のコツや、経過が記録してある。よかったら使えよ


 

「房野……」

 

差し出されたノートを受け取る。

 

「お前、マジにカッコイイな。惚れるわ」

 

 

俺に? 真美にじゃないのかよ


 

「え」

 

固まる俺に、イケメンはイケメンオーラたっぷりの笑みを投げる。

 

 

気になる男がいるって言うからさ、変な奴だったらどうしようと思ってたんだよなぁ


 

それだけ言って、俺の返事を待たずに行ってしまう。「あ、ありがとう!」と叫ぶと、背中越しにヒラヒラと手を振った。どこまでイケメンなんだ、アイツ。

 

 

熱くなった手の平

 

やだ。お兄ちゃん、そんなこと言ったの!?


 

房野のイケメンぶりについて語ったつもりだが、真美が食いついたのは別のところだった。

 

 

気になるって、あの、変な意味じゃなくてですね。だって、ずっと親切にしてもらったっていうのがあったし、日に日に元気なくなってて心配だし、だから――


 

頬を紅潮させてモゴモゴ言うのが可愛いが、動揺しすぎで少々気の毒だ。よって、話題を変えることにした。

 

「ほら、照川さん。パンダいるよ」

 

天気のいい日曜日。俺たちは動物園にいた。なぜかと言うと、真美に誘われたからだ。知り合いから無料券を譲ってもらったという。

 

 

再会してから、休日には予定を合わせてちょくちょく彼女と会うようになったのだ。男女二人だから、これはデートといえるのかもしれない。けれど、緊張はまったくなかった。

 

 

わあ、可愛い!


 

無邪気にパンダめがけて駆け出していく。真美の自然体な言動やしぐさが、俺に緊張感を与えないのだ。二人でいるのが当然と思えるくらい、いつもリラックスできる。彼女と並んで、パンダの檻の前に立った。

 

 

モコモコしてるぅ。あったかそう。いいなぁ。寒くなってきたもんね


 

「もう十一月だもんな。でも今年はそこまで寒くない気がする。照川さん、寒がり?」

 

自分の言葉に、ふと気づいた。ここ数年は冬が深まるたび寒さに敏感になっていた。なぜならデリケートな頭皮が逐一冷気をとらえるからだ。

 

 

何気なく頭に手をやり、驚いた。
前より毛が増えている。

 

以前ならすぐに帽子を被っていた季節に、素のままでいたのはそのせいだ。毎日見ているとわかりにくいが、確実に変化は表れていたのだ。一人で感動していると、隣の彼女がポツリとつぶやいた。

 

 

真美


 

「え、なんて?」

 

 

……そろそろ、照川さんじゃなくて、真美って呼んでくれてもいいと思うんですけど


 

「えっ」今度は俺が赤面する番だった。

 

 

ダメですか?


 

「ダ、ダメじゃないよ。真美、さん」

 

 

真・美!


 

すねたように唇を尖らす彼女に、さらに顔に熱が集まる。

 

 

「はい、真美」

 

「何? 圭一さん」と満足そうに微笑む。

 

なんだこのやりとり。
中学生みたいで恥ずかしい。

 

そう思うのに、決して悪くない気分だ。

 

 

どちらからともなく手をつないだ。
今日は俺の手のほうが熱かった。

 

 

こちらこそ!お義兄さん!

前進するというのはいいものだ。

 

『フィンジア』でのケアを続けていると、地道だが明らかにぐっと効果が見える瞬間がやってくる。成長曲線の法則は育毛にも当てはまるらしい。

 

ダイエットに停滞期ってあるでしょ?そこを抜けると、途端に体重が落ちやすくなるんだよ。それを繰り返して目標に到達するの―――。

 

真美の言葉を思い出す。
彼女は彼女で地道に目標へと向かっているようだ。

 

 

 

最近の俺はといえば、十二月に入って忙殺されている。A社を通じて新しいC社との繋がりが出来たのだ。年初からの定期納品に間に合わせるため、会議と書類作成、打ち合わせに報告業務とやるべきことに追い立てられている。が、突然の大口契約にも関わらず、意外や全体はスムーズに進行していた。

 

以前のトラブルの際、開発チームの面々と顔なじみになれていたことが大きい。過酷な状況で常に一緒にいたせいか、いつの間にか阿吽の呼吸というものが出来ていた。

 

 

「営業課と開発チームは犬猿の仲って言われてんのになぁ。うちの部員も、笛吹になら色々要望が言いやすいって奴が多いんだよ!」

 

がはは、と相変わらず仁王のような顔をした課長が笑って教えてくれた。パシリ扱いされてるだけでは? と思いつつ、認めてもらえた気がして嬉しかった。

 

 

日々のやるべきことをこなしているだけなのだが、気が付けば過去最高に仕事をしていたらしい。入社以来初めて、営業成績がトップになった。

 

 

やったな


 

毎回トップのエースが、笑って祝福してくれた。

 

「ありがとう。みんなのおかげだよ」

 

 

おーおー、カッコイイな。知ってるか? お前、最近モテてるぜ


 

「ええ? まさか」

 

目を丸くすると、房野が人差し指を突き付けてきた。

 

 

いや、マジ。で、さらにマジな話すると、兄としては心配なわけ。うちの妹のことはどうなってんのかなーってな


 

「いや、それは」思わず顔が赤らむ。

 

 

クリスマスも何もなかったって嘆いてたぜ


 

プレゼントは渡したのだが、彼が言っているのはそのことではないのだろう。俺だって、いい加減ビシッと決めたいと思っているのだ。イヴには張り切って高級レストランを予約した。ディナーの後、真美に告白するつもりだった。

 

しかし、繁忙期とは非情だ。仕事の呼び出しがかかり、デザート前に抜け出すことを余儀なくされた。二人の記念日になるはずだったのに。

 

「わかってる。今度こそハッキリ申し込むつもりだよ」

 

 

それ聞いて安心したわ


 

イケメンが白い歯を見せる。

 

 

笛吹、真美のことよろしくな


 

「こちらこそ! お義兄さんっ!!」

 

 

気が早えよ、調子に乗んな馬鹿


 

地雷だったらしい。
シスコンのイケメンに殴られた。

 

 

多香子の真実

年末も押し迫った12月30日。

 

ようよう仕事納めをし、蒲生商事営業課の忘年会が行なわれた。場所はいつかの慰労会と同じオシャレ居酒屋だ。みんなおおいに飲んで食べ、多忙の疲れを吹き飛ばすようにはしゃいでいた。俺も今回は楽しく飲んだ。

 

締めは毎年恒例の内藤課長による挨拶があったが、なぜか歯切れが悪い。今年度の営業成績は申し分なく、どう考えても課長が冷や汗をかく場面ではないのに。

 

 

全員が不思議そうに見守るなか、グダグダな挨拶を終えた彼は、おもむろにマイクをある人に手渡した。

 

 

すいません、ここで一つご報告がありますっ


 

元気よく立ち上がったのは大居多香子だ。

 

 

このような楽しい会で、私的なご報告をするのをお許しください。私、もうすぐ結婚します!


 

ええーーっ、と、女子社員の歓声と男性社員の悲鳴が轟いた。そこへさらに爆弾を投下する多香子。

 

 

それと妊娠しています。今、四か月です!


 

混乱極まるなか、切り込んだのは倉崎奈奈美だ。

 

 

ああああ、相手は誰なんですかっ? 私の知ってる人ですか……!?


 

もちろんよ


 

多香子はにっこりと微笑み、隣の男の腕をとった。

 

 

内藤課長です。私たち、二年前から付き合ってるの


 

一瞬、時が止まった。
そのあとは悲鳴の洪水が起こる。

 

内藤課長は、未だかつて見たことがない、情けないような恥ずかしそうな顔をしている。しかし、奈奈美は納得しない。

 

 

ええーっ。だって、だって多香子さん、付き合ってる人いないって言ってましたよね!?


 

立場的に困るって、彼が言うから。嘘ついたの。ごめんね


 

えええっ、でも、ハゲなんかありえないって言ってたじゃないですかぁ!


 

忘年会にしても無礼講過ぎる物言いだったが、多香子は頓着しない。

 

 

あのときね、ちょうど喧嘩してたのよ。この人、俺は年だしハゲだからお前に釣り合わない、別れてくれなんて言うんだもの。ハゲだから何? ハゲのせいで私は好きな人と付き合えないの? だからハゲなんか大嫌いって言ってやったのよ。でもね、妊娠がわかって、やっと観念してくれた


 

内藤課長の腕に自分の腕をからめる彼女は、本当に幸せそうだった。心底惚れているのだろう。それは、全員に伝わったに違いなかった。

 

ゴホン、と咳払いした課長が、

 

 

……そういうわけだ。順序が逆になったが、大居多香子さんを真剣に大事に思っている。こんな俺だが、今後は夫婦ともどもよろしく頼む


 

深く腰を折る。多香子もならい、頭を下げた。
パラパラと拍手が起こり、それはどんどん大きくなった。

 

 

「当然っすよ。課長。よっ、この色男!」

 

「マドンナを射止めるとはさすが営業の鬼課長っすね」

 

「多香子先輩、おめでとうございますー!」

 

 

方々から祝福され、二人の表情がなごむ。その後は店を移り、二次会ならぬ『内藤夫妻の結婚祝賀会』が催された。楽しげにさざめくなか、俺のそばに多香子がやってきた。

 

 

隣、いいですか?


 

彼女はウーロン茶のグラスを手にしている。

 

「おめでとう。しばらくは禁酒だね」

 

 

ありがとうございます。こんな禁酒なら大歓迎だわ。ちょうど笛吹さんと飲んだ日あったでしょう。そのときにはもう妊娠してたの。いっぱいお酒飲んでたから、あとで焦っちゃいました


 

恥ずかしそうに肩をすくめる。なるほど、あの頃は内藤課長とあまり上手くいってないときだったのだろう。荒れていたのも納得だ。多香子がそっと声をひそめ、

 

 

あのね、彼が笛吹さんのこと気にしてるの。失礼だけど、笛吹さん最近すごく変わったでしょう。なんていうか――


 

「頭が?」

 

 

そう!


 

彼女はうれしげに手を叩く。

 

 

数か月でこんなに変わるんだって驚いたわ。なにか秘訣があるのかしら。よかったら、夫に教えてあげてくれません?


 

「もちろん。いつでもご教授するよ」

 

祝福を込め、二人で乾杯した。

 

待ちきれなかったらしい課長は、翌日の朝から電話を入れてきた。半分寝ぼけたまま『フィンジア』のことを伝えると、えらく張り切った声がする。

 

 

俺もまだまだ、あいつらのために頑張らなきゃいけないからな。お前には負けんぞ、笛吹!


 

「いっしょに頑張りましょう、課長。あ、でもカツラは外したほうがいいですよ」

 

蒸れますから、と言うと途端にしゅんとなる気配がした。しばらくしたのち、「善処する」と小さな答えがあった。笑って通話を終える。来年からは、新しい内藤課長が見られそうだ。

 

 

新しい年がくる

目が覚めてしまったので、早めに身支度をする。大晦日の今日、真美とデートの約束をしていた。シャワーを浴びてドライヤーをかけたあと、『フィンジア』をすり込む。

 

 

いつもならここで終わりだが、今日は特別だ。
洗面所の棚の奥にしまってあったヘアワックスを取り出す。

 

真美と知り合うきっかけになったワックスと同じものだ。整髪剤をつけることはめったにないので、ちょっと緊張する。慎重にクリームを手にとり、毛先を整えた。

 

 

数分後、鏡の中にはデート前相応に張り切る青年の姿があった。髪型ってすごいな。いつもより数歳は若く見える。

 

この姿を、早く彼女に見せたい。約束の時間よりずっと早くに家を出たが、寄るところがあったため着いたのは十分前だった。

 

 

広場の噴水の前に、真美が立っている。ピンクのカシミアのマフラーを巻いていた。俺からのクリスマスプレゼントだ。

 

 

「真美!」

 

呼びながら駆け寄ると、彼女は目を丸くした。買ったばかりの花束を差し出す。自分でもキザだと思うが、真っ赤な薔薇の花束だ。

 

「好きだ。付き合ってくれ!」

 

大声に、通行人が振り返る。でも、俺は真美しか見ていなかった。彼女の表情が、薔薇よりもきれいにほころんでいくのを、ただ見ていた。

 

 

遅いよ、馬鹿


 

花束ごと、真美が抱きついてくる。耳許に吐息がかかった。

 

 

私も好き


 

くすぐるような愛の言葉に、一気に顔が熱くなる。

 

俺もだ。

 

俺も、来年は今までにない新しい年になる。ずっと楽しい年になる。ワクワクと胸が沸き立つような予感ごと、めいっぱい彼女を抱きしめた。

エピローグ

房野が譲ってくれたノートに、『フィンジア』を選んだ理由が書き連ねてあった。几帳面な彼らしく、下調べは入念だったようだ。今でもこのノートを時々読み返す。

 

自信満々で完璧に見えた男にも、苦悩した時代があった。わずかばかりの希望を胸に、なんとか現状を打破しようともがく懸命さが、いつも俺に勇気を与えてくれるのだ。以下、参考までに主要な箇所を抜粋する。

 

 

俺がフィンジアを選ぶ理由
キャピキシル5%配合(業界最高濃度)

キャピキシルとは男性ホルモンと相反する女性ホルモン作用物質といわれるイソフラボンを豊富に含む「アカツメクサ」と、4つのアミノ酸で構成される「アセチルテトラペプチド-3」の合成成分。次世代のスカルプ成分といわれており、育毛の現場で注目されている。

女性ホルモンが頭髪を生やすのに重要なのはよく知られている。ぜひ積極的に取り入れたい成分だが、『フィンジア』には、通常の三倍のキャピキシルが配合されている点が魅力的。

 

ピディオキシジル2%配合(業界最高濃度)

別名ミノキシジル誘導体と言われ、注目される新スカルプ成分。ミノキシジル(Minoxidil)とは元は血管拡張薬として開発された成分だが、後に発毛効果があることが判明し、育毛剤に転用された。しかし、ミノキシジルを直接摂取するのは副作用の恐れがある。

ミノキシジルそのものでは副作用が不安視されるが、ミノキシジル誘導体だとその心配がない。毛髪に必要な栄養を行き渡らせることができる。育毛はしたいが、安全面にも当然配慮したいので、『フィンジア』のピディオキシジルの成分配合は嬉しい。

 

カプサイシン配合(独自の浸透理論)

トニックに栄養成分がいくら豊富に配合されていても、凝り固まった毛穴が開かなければ意味がない。その点、カプサイシンが有効。辛い物を食べたとき汗が噴き出ると同様に、毛穴をやわらかくしてゲートを開く役割を果たしてくれる。

カプサイシンまで配合した育毛剤は他に見つからなかった。『フィンジア』独自の技術らしい。カプサイシンでゲートを開き、十種の成長成分を浸透させる。どうせ選ぶなら、他社にはない成分を配合した製品が望ましい。

 

定期お届けコースだとお得

一本50ml(約一カ月分)が、通常だと12800円。それが定期お届けコースにすると、9980円になる。

月一万円以内に抑えられるのは嬉しい。しかも手数料と送料は無料。定期コースとはいえ、一回だけで中止・休止するのもOKという。初めての育毛剤でも、試しやすくなっており、かなり良心的。

 

追伸

いかがでしたか?

 

個々人で原因や経過が違う頭髪の悩みを解消するのは、簡単なことではないかもしれません。100%なんて誰も保証してはくれないのですから。けれど、やるかやらないかの二択なら、一度はやってみるべきではないでしょうか?

 

最初から決めつけてしまっては、どんな願いだって叶えられません。一縷の希望を持ってこそ、良い結果を導き出すことができます。世間の目が気になる、自信が持てないと悩んでいる貴方! そんな貴方にこそ、試してみてほしいのです。

 

明日は誰にもわからないように、未来の貴方は思いもよらない幸運に嬉し泣きしているかもしれませんよ。その可能性を信じて、まずは一歩踏み出してみてください。

 

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FINJIA(フィンジア)の特徴

  • キャピキシル最高濃度5%!
  • ピディオキシジル最高濃度2%!
  • 浸透力を高めるカプサイシン配合!
  • キャピキシル育毛剤の中で最安値!
  • 使用後でも30日間全額返金保証付き!

価格 9,980円
評価 評価5
備考 俺と房野の髪を復活させた救世主アイテム!
FINJIA(フィンジア)の総評

ミノキシジルの3倍の効果があるキャピキシルと、ミノキシジル誘導体とも呼ばれるピディオキシジルを業界最高濃度で配合しているフィンジア。さらに浸透力を高めるためにカプサイシンによって毛穴を広げ有効成分を毛根の奥まで届けてくれる。

ここまで配合成分や浸透力にこだわっているにも関わらず、価格はかなり良心的。キャピキシル配合系のスカプルエッセンスの中では最安値だ。サポート体制も手厚く、使用後でも30日以内なら全額返金保証が適応されるという自信の表れっぷり。

初めは半信半疑だったが、実際に使い続けてみて正直ここまで効果が出るとは思わなかった。医薬品のような即効性には欠けるが、たしかに継続させると期待通り、いやそれ以上の効果を発揮してくれた。ぜひこの効果を実感してほしいと思う。

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